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破産者マップ – 官報に掲載された破産者を地図上に可視化しました。
というWebサイトが今炎上している。(特殊詐欺に関連している疑いがあり)

結論を先にまとめると
著作権侵害
個人情報保護法に反している
人格権侵害-名誉毀損
これらに確実に該当するものかと思われます。

更に削除申請の必要情報から推察するに、破産者マップ自体が個人情報を集める為に作った疑いがあり、集めた個人情報を特殊詐欺に利用する可能性が高いと見られます。


追記欄

2019/03/18 追記

破産者マップの削除に向けて弁護団が活動を開始しました。
被害者の方は、既に問題に対して認識している弁護団の弁護士事務所のいずれかに連絡をとる事を推奨します。

日本羅針盤法律事務所

法律事務所アルシエン

御池総合法律事務所

横浜ユーリス法律事務所

弁護士法人北千住パブリック法律事務所

高島法律事務所

ベリーベスト法律事務所

三浦法律事務所

なんもり法律事務所

この活動を支援する方は以下のツイート内リンクよりご支援ください。
また、弁護士団によるプロジェクト詳細も、本記事で伝えたい事が書かれていましたので、ご一読ください。

さくらサーバーにより、破産者マップが凍結されたようです。
再度復活したようですが、マップは閲覧出来ない状態になっています。
これにより、興味本位で調べる人による2次被害を防げる事となると同時に、TVメディア等で報道がされても被害が拡大される事は無くなりました。

本来であれば、モラル的にはありえない事案でしたが、前例が無い事案の為、ネット上に存在する多くのサイト・ブログが、中立的意見や断定出来ない表現となってしまい、炎上することでの2次被害を招いてしまった事も事実です。

当サイトでは、記事公開時より危険性を喚起しておりましたが、この話題を取り上げる事により、該当サイトへのリンクを貼っていた事による2次被害の拡大に助力してしまったかもしれません。
今回の騒動の主に個人情報を流出された方にお詫び申し上げます。

2019/03/17 追記

セキュリティガバガバなサイトなので、破産者マップへのリンクを外しました。簡単にハッキングや改ざんされそうなサイトなので、第三者によるバッドドアウイルスが仕込まれる危険性があるので、破産者マップにアクセスする際はご自身の責任でアクセスしてください。

ttp://www.hasanmap.tokyo/

厳密に言うと、破産者とは、破産手続き中の者の事であって、免責が降りて復権した者は、破産者とは呼ばないのですが、当サイトの記事上では、この問題に対し分かりやすく解説する上で『破産者』と表記しています事をご了承ください。

2次被害の例としては、10年分(現在は3年分)の情報を掲載しているわけですが、その期間の内に官報掲載時からの住居を変更されている方もいるので、破産していない者が住んでいる住居に破産者の情報が掲載されているものもあります。

そのおかげで、全く関係が無い方でも周辺の住民に間違った認識をされる方も出てきているようです。

現在、SNS等で破産者マップ削除依頼代行といった少額で削除依頼をすると宣伝している素性不明のアカウントが居ますが、特殊詐欺に加担している疑いが強いので、削除依頼される方は、お近くの法律事務所か法テラス,警察等でご相談される事をお奨めします。


本文 破産者マップの何がヤバくてダメなのかを解説

『別に官報で、公表されてるものだからいいんじゃない?』と言った意見や、『個人情報漏れまくり』と言った意見もあり、賛否が分かれているみたいだが、インターネットが普及して小さい子供でもネットを閲覧する時代なので、よーく考えて欲しい問題だと思う。

ちなみに、調査したところ破産者だけでなく、民事・個人再生などで官報に掲載された方も該当サイトには掲載されているようです。

勿論国から公認を得て、運営しているサイトであるならば、何も文句は言えないが、サイトの作りからしてそれは無いだろうという結論なので、色々書かせて頂きます。

世論的には、炎上しているのですぐに潰されるとは思うが、このようなサイトを作るWeb製作者や運営者が今後出て来ない事を願う。

以下から本文ですが、私自身は法律の専門家ではないので、法律関連の部分では私見が入っていますので、留意の上お読みください。

破産者マップの『これはダメだろう』という所

モラル、法律、Webサイト運営者などの様々な観点から考察しました。

大前提に官報情報検索サービスの第6条の禁止行為には思いっきり接触しています。

これはWebサイト上での問題であって、この禁止行為について違反していても法的罰則が適用されるのは難しいのですが、この禁止事項を定めた国立印刷局が破産者マップとやり取りをして、サイトを削除させる動きが必要です。
(明らかに違法だと思われる場合と多数の通報が発生している状況で、サーバー側が長期間放置した場合、プロバイダ責任制限法に基づきサーバー側の会社に国立印刷局より損害賠償を請求される事があります。)

前例が無い事案なので、これは予測ですが、官報の存在意義や信頼性を著しく低下させたとして、新たな罰則が設けられるかもしれません。

著作権侵害に当たるケース

一般的に官報での破産者の情報と言うものは、インターネット版官報で手軽に見られるが、インターネット版での無料掲載期間は30日である事。その後30日より前の情報をインターネットで見る場合は、有料の官報情報検索サービスを使う必要がある。

破産者マップのサイト上では、以下の記載がある。

破産者マップ画像

これまで10年分の破産者の情報を公開してきましたが、3年分にしてサービスを再開したいと思います。

このように記載されている。
官報は無料掲載30日なのに3年分掲載とか・・・

これはいわば『マンガ村』のような、海賊版サイトと同様の事をしていると判断されます。(しかも政府を相手にしているようなもの)

官報の著作権についてはインターネット版官報にこのように記載されている。

一般的に、官報には著作権が存在しないと解釈されています。しかし、「インターネット版官報」は、官報を基に国立印刷局が編集・作成したものであり、その範囲内において著作権が発生する余地があると考えられます。

引用-インターネット版官報 よくあるご質問

冊子版の官報は有料であり、勿論管理は購入したものがするので、その情報を閲覧できる期間というのは、購入した人次第になる。(当たり前の事だが、50年経っても冊子を保管していたら50年前の情報が見れる。)

形態が冊子なので、情報を閲覧出来る人の数と時間に限界がある。(ネットのように1日で10万人に見られる事は無い。)

冊子版官報には著作権は無いとしているが、インターネット版官報における有料で提供している情報の範囲は著作権が発生するであろうという認識だ。

但し、冊子版の官報には著作権が無いとは言え、冊子版から情報を得たと言って不特定多数が閲覧できるWeb上に転載することは、インターネット版官報における著作権の適用範囲になるので、侵害行為を働いていることになる。

まだ公開しているものが、30日以内の情報の範囲に留めておけば情状酌量の余地はあったのかもしれない。(後述するが、著作権以外でもダメダメだけど。)

我々が著作権者で無い限り訴え出る事は無いが、マンガ村のような海賊版サイトは国が対処しているので、こちらの問題が民事で解決されない場合でも、国が放置する事は無いだろう。

名誉毀損になるケース

官報に記載される破産者情報は、『個人を容易に特定出来る情報』です。勿論記載されている個人の人格権は発生しますし、個人情報保護法も絡んできます。

しかし、官報は公告という目的で発行されている事と、官報を”個人利用”で読んでいる個人はほぼ居ない事から、官報を発行する国立印刷局が掲載された個人に対して名誉毀損をしているとは言えません。

破産者マップの場合はどうでしょうか?

破産者を調べれるサイトを作った目的は不明。
不特定多数の人物に、過去3年分+(以前は10年分)の破産者情報を閲覧出来るようにしている。(インターネット官報の無料範囲外の情報の記載)
サイト内で『直近1時間で検索された氏名』やリストでの情報等が見れる。(自分の名前がそこにあったらどう思うでしょうか?たとえ破産していなくても。)

ここで名誉毀損に当たる問題として、重要なのが『不特定多数』というワードなのですが、かなり炎上した所為で破産者マップというサイトの存在が知られ、興味本位で近所や友人、職場の人間、知人などを調べる人が出てきています。

こういったサイトが出来てしまったが故に、わざわざ官報で調べる事も無い大多数の人が、本来知りえなかった情報を閲覧してしまう状況または、当事者からすると知られてしまう状況になってしまいました。

そういった観点から、充分『名誉毀損』に該当するでしょう。

過去に官報内容のブログ転載というケースの想定では、弁護士の方が参考になる意見を書かれております。

過去に官報内容のブログ転載

個人情報保護法侵害になるケース

個人情報保護法では、個人情報取扱事業者・小規模取扱事業者であれば、義務が発生します。

個人情報等データベースを事業に用いる者であって、次の者を除く者を対象とする(第2条3項、施行令2条)。

国、地方公共団体、独立行政法人等および地方独立行政法人
取り扱う個人情報(市販の電話帳やカーナビの住所情報等は除く)が過去6か月以内のいずれの時点においても5,000人[4]以下の事業者
したがって、事業者には営利法人だけでなく非営利法人も該当するが、一般の個人はほとんど対象とならない(ただし、個人事業主等でこの定義に当てはまる者は当然、本法の対象となる)。

引用-wikipedia

上記の解説では、5000件以下とありますが、法改正されてからは、取り扱う個人情報の数が5000件以下の「小規模取扱事業者」も法律適用の対象となり、「件数要件」が撤廃となっています。

また、「利用目的の明示」、「第三者提供の際の本人同意」といった個人情報を活用するにあたっての義務が細かく定められています。

そもそもサイト上に運営会社とかの記載が無いわけですが、『削除要請された方へ』のページで『スタッフ』という言葉を使っているので、個人サイトとか個人ブログとかのレベルじゃなく、会社か個人事業主などの形態かと予測されます。

プライバシーポリシーページが無い時点でお察しだと思います。
色々違反しまくってるので、軽く書くだけでも以下の様になります。

  • 利用目的の特定 記載無し
  • 利用目的の制限 記載無し
  • 適正な取得 官報から取得(公認か非公認かは不明)
  • 取得に際しての利用目的の通知 無し
  • 苦情の処理 逆切れ気味の文章の記載
  • 第三者提供の制限 不特定多数に情報が渡っている

とまあがっつり違法行為を働いてる訳です。
対象者の人数が限りなく多いので、民事で一人ひとり解決していく・・ってのは、難しいでしょうね。刑事罰の場合は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金です。

ちなみに苦情の処理という項目ですが、厳密に言うと苦情では無いのですが、排除申請のページにはこのように書かれています。

サイトのフォームより削除要請された方へのメッセージです。破産された方を中心に削除要請が数分ごとにきており、そのメッセージの中にまじり、毎日、十数人の弁護士や司法書士の方から、削除要請やお問い合わせがきているような状況が、ここ数日、続いているのが現状です。正直なところ、少人数のスタッフでまわしているため、対応するのが物理的に無理!です。一刻も早く削除してほしいとのお話やシビアなお話もいただいているのですが、すみませんが、そのような状況でスタッフはいったん12時間ほど休みます。削除に応じないなら「名誉棄損で裁判で訴えるぞ」「警察に行って名誉棄損で逮捕してもらうからな」とメッセージをいただくこともありますが、おそらく、裁判の判決がでるまで待たれたり、警察に相談されるより良い選択肢がいくつもあるような気がします。

削除申請フォームを公開したところ、削除要請がバンバンきて対応窓口が機能不全に陥ったので、今の仕組みを仕切りなおしたいと思います。スタッフのリソースを踏まえた上で、官報掲載者様、ご覧になる方々とのほどよいバランスを考えます。新しい対応基準を作るまでの間、申し訳ないですが、お待ちください。新たな対応方針が決まりましたら告知いたします。

引用-削除要請された方へ(現在見れません)

正直見たとき私は笑ってしまいました^^;
まず謝罪文というものが無い事にびっくりですね。

セキュリティが甘すぎる

セキュリティの甘さを指摘後、静的ページになりました。

Webサイト制作者視点で見た、破産者マップのサイトのヤバイところです。

セキュリティ対策が不十分であると、破産者マップ以外の悪意のある第三者が、ハッキング・クラッキング等の行為で、サイトを改ざんし、悪意のあるコード(バックドアやウイルス)を仕込んでいる可能性が出てくるのも否定できません。

  • 無料のWordPress Themeを使用している事。
  • 会社概要もしくは運営者の記載が無い。
  • プライバシーポリシーの記載が無い。
  • PHPが古い(5.2)
  • SSLじゃない。
  • xmlrpc.phpを無効化してない。

ざっくり解説。
無料のWordPress Themeは無料なだけあって入手が簡単=コードが見れる=脆弱性のあるコードを攻撃者に発見されてしまうリスクが高い。

会社概要や運営者の情報が記載されていないのは論外だけど、炎上する事が分かってて記載していない?

プライバシーポリシーの記載、サイトのメインコンテンツが『官報のデータによるもの』なので、また、”スタッフ”なるものによりサイトが制作されているので、事業形態と推測、事業に個人情報を利用している事になるので個人情報保護法での義務は発生する。

PHPが古い、何故5.2を使っているのか・・・

xmlrpc.phpを無効化してない。
害悪なサイトを作って更に害悪なサイトに踏み台攻撃させられたいのか?

SSLじゃない。
削除要請はお問い合わせフォームなので、破産者マップのサイト上から情報を送信しなければいけないが、SSL通信じゃない。

更に、削除要請の内容が多くの個人情報を含まなければならないのに、そんな危ないサイト上から情報を送信するのは危険すぎる。

破産者マップに記載されている削除要請に必要な内容は下記の通り。

(申請を行う際の必要項目)
1.削除を希望する情報(例:氏名)
2.削除を希望する情報が記載されてるWEBアドレス(グーグルマップ内については、グーグルマップ内と記載を行ってください)
3.削除を希望する理由や事情
4.削除を希望する情報(例:氏名)と申請者との関係(官報掲載者本人からの申請は「本人」と記載)
5.申請者の現在の氏名、住所、電話番号、電子メール、その他連絡先
6.申請者の公的身分証明書の写し

(本人による申請の場合)
7.(削除希望の氏名または住所が、公的身分証明書の記載と異なっている場合)削除を希望する氏名または住所と、公的身分証明書の情報の連続性を証明する公的機関が発行する書類

(代理人による申請の場合)
8.本人と代理人の関係が分かる書類の写し(例:委任状、法定代理人であることを証明する書類)
9.本人の現在の氏名、住所、電話番号、電子メール、その他連絡先
10.本人の公的身分証明書の写し(削除希望の氏名または住所が、本人の公的身分証明書の記載と異なっている場合は、削除を希望する氏名または住所と、公的身分証明書の情報の連続性を証明する公的機関が発行する書類)

なんだろう、Webサイトを世の中に公開するに当たってのリテラシーとか基本がこれでもかと言うくらいダメダメなのに、削除申請はお役所みたいにガッチガチに固いんですけど。

しかもお問い合わせフォームにはファイルが添付出来ないから、一回相手が削除申請者のメールアドレスに返信してからじゃないと、話が進まないっていう効率が悪い仕様。

私の場合だと、提出した個人情報を更にどっかに売るんじゃないか?って邪推してしまいますね。

情報が知られた当事者や家族がヤバイ

破産者といっても会社であったり個人であったり色々あるわけですが、破産するに至った経緯や原因なんかもそれぞれあるわけです。

特に自己に責任が無い場合の破産というケースなんかいくらでもあります。

それに加え、官報に載っている以上、破産と言う手続きは行っているため、個人の場合だと、クレジットカードが7年使えないとか、分割ローンが出来ないとか制約を受けているわけです。(社会的制約といいますか、制裁といいますか)

人は物事を判断する時に、必ず情報を集める。
いい情報も悪い情報も含め、最終的に判断するのは自身だけど、多くの人が情報に簡単に左右され振り回されるのも事実です。

全ての人間がそうではないですが、得られた情報によって差別をしたり、距離を置いたりする人も居ます。

私自身見てきた中でありえないと思える考えを持った人間も居ますし、実際ニュースでも毎日のように、ありえない行動を起こした人や、思想を持っている人が逮捕されたりしています。

破産者自身が知られても問題ないと思っていても、その子供はどうでしょう?
その子供のトモダチは?その親は?職場の人間は?友人は?

それで子供が泣くような事になるのは悲しい事ですよね。

そんな事で差別しないよ、という方もどうでしょう?たったひとつの情報が変わるだけで、見方が変わりますし、何かあった際に思い出すはずです、『ああ、やっぱり○○だからな』という風に。

個人的に伝えたい事

  • サイト運営者の情報は一切記載していないのに、他人の個人情報をばら撒いている。
  • 炎上しても謝罪文のひとつも無い。
  • 問題になってもサイトが未だに公開されている状態。
  • 破産という選択肢を取り、やり直す事を選んだ個人を晒し者にする行為。

やり直す為に破産という選択肢をとって、長期間に渡る色々な制約を受けて破産者は破産を選んだわけです。それこそ死を覚悟していた方も、やり直すという選択肢で生きる道を歩き出した方も居ます。

官報に個人情報が掲載されるという事実はありますが、実質破産者がその後の生活において関わる周囲の人間には本来知られる事が無い情報です。

そういった情報を故意にこういった形で、不特定多数の人間に拡散されるのはどうでしょうか?気にしない人が居るにしても、あえて自分から他人に明かすような情報では無いはずです。

Twitterでは係長というアカウント(破産者マップからリンクあり)が存在しますが、サイト上にもTwitterアカウントにも、自身の会社情報等が記載されていない。

自身の情報の一切を秘匿しているのに、他人のしかも数多くの個人情報を大多数の人間に晒している行為が許せない。

関連リンク

破産者マップに関する集団訴訟 集団訴訟プラットフォーム enjin
(リンク先コメント欄も読むと被害者の心情が分かると思います。)

破産者マップ Web魚拓

破産者マップ 係長 Twitter

まとめ

『公表されてる情報だからいいでしょ』みたいに考えている方が居たので、ついつい長文で書いてしまいました。

公開されている情報だからと言って許容していると、じゃあ国が公表している・する個人情報ならば、自分達(国民)が何でもどのように使ってもいいのか?と考えるといいかも知れません。